ウォール街のランダム・ウォーカー
- 作者: バートンマルキール,Burton G. Malkiel,井手正介
- 出版社/メーカー: 日本経済新聞社
- 発売日: 2004/04
- メディア: 単行本
- 購入: 2人 クリック: 26回
- この商品を含むブログ (45件) を見る
個人投資家向けの投資入門書。著者は、テクニカル分析もファンダメンタル分析もバッサリ斬り捨てます。その斬り捨て方はなかなか痛快です。
テクニカル分析はオカルトで全く当てにならない。プロのチャーチストの商売は、頻繁に取引させ証券会社に手数料を稼がせることである。ちなみに失敗したチャーチストが決まって言うセリフは「私はなぜチャートを信じなかったんだろう」だそうである(信じるものは救われるの宗教みたいな)。
ファンダメンタル分析でも市場平均を上回る成績を残すのは難しい。プロであるはずのファンドマネージャの成績は、市場平均を下回っており、サルがダーツを投げて選んだポートフォリオと変わらない成績である。
結果として、最も期待できる投資はインデックスファンドを買うことだと著者は述べてます。偉い人は市場全体に投資しろな意見になるもんか?平蔵さんもそんなこと言ってたなぁ。
ちなみ、痛烈な批判が目だって、読んでない人からは誤解を受けやすいのですが、著者は、ファンダが株価に影響を与える影響は否定していません(テクニカルや短期トレードは完全否定ですが)。例えば、「インデックスファンド」では満足できない、山っ気のある自分で銘柄を選びたい投資家は、以下の基準で銘柄を選ぶといいだろうと言っています。
- 今後成長する銘柄
- 割安な銘柄
- 「砂上の楼閣」を作れそうな銘柄
最初の2つは、言い換えるとグロース投資、バリュー投資、つまりファンダを見て買えと言っています。最後の「砂上の楼閣」というのは、心理的要因でバブル材料のことです。バブルは実体がないのに、期待だけで株価が上がっていくものです。バブルは、危険だと思いながらも、もっと馬鹿な投資家が現れ買ってくれることを期待して買われる、ババ抜きかネズミ講のような投機で、手を出すべきではないと言っています。ただ、バブルになる前に買っているのはおいしいことで、このようなバブルになるかもしれないような材料を持つ銘柄を買うのもアリだと言っています。最近で言うと、M&A株、資産株、萌え株、直近IPO株といったコンセプト株、テーマ株のようなものでしょうか。ちなみにこの本では、過去の様々なバブルについての記述がされており、面白いです。
ちなみには私はチャートも見ますし、長期より短期のトレードが主ですが、この本は面白く読めました。読んでない方は一度読んでみることをお勧めします。