鼠たちの祭

人の砂漠 (新潮文庫)

人の砂漠 (新潮文庫)

たまには、小説でも読んでみた。沢木 耕太郎の本を読むのは、深夜特急ぶり。短編集の中の「鼠たちの祭」という短編が、株関係の話で「仕手」を題材としたノンフィクション短編。板崎喜内人という人物を中心に描かれている。板崎は最初は、スクイズ、玉絞めといった、バレたら違法まがいの仕手相場を作っていたが、次第に需給バランスを重視した真っ当な仕手?に成長していく。そして小豆や毛糸の大相場で大金を手にする。相場師はたいてい最後は不幸で終わるが、板崎の場合は相場師を途中で降りてしまったため、悲劇的には終わらなかった。筆者はそれが、不満らしい。相場を男の世界として美化しすぎか?ノンフィクションだからか、若干オチははないが、面白くイッキに読める。