芸術企業論

isbn:4344011783

先日、村上隆氏のマイ・ロンサム・カウボーイなる等身大おなぬーフィギアが16億円で落札されたとかいうニュースを聞いた。世間知らずの私は、この人が何者かもよく知らなかったのですが、興味がでてきて一冊読んでみた。


一部の評価的には、村上隆氏は
http://d.hatena.ne.jp/keyword/%C2%BC%BE%E5%CE%B4

美術界にあって、時に拝金主義的とも見られがちな言動や、既存の日本アニメやマンガの手法を(ある意味無節操に)取り入れた作品作りから、批判が多いことでも有名。

ということらしく、本も何かムナクソ悪くなる感じなのかなぁとも思ったが、意外と面白く好感がもてるところも多い。


本では「作品の評価はカネ」とかはっきり言い切ってるところがまず漢らしい。仕事でやる以上、カネにこだわるのは別に悪いことじゃない。この一点のみを出発点にして、全人格否定をして妬みそねみを感じる心の方がビョウキ。ただ、この人の作品が理解できない、業績が分からない。たいしたことしてないのに楽してうまくやって金儲けてるなぁという感情がわくのは自然な流れかも。理解できないのは、自分の頭の悪さかもしれないが。
世界で通用するためには作品背景となる文脈作りが重要うんぬんは、自分が成功した戦略の重要要素という話だが、単にモノを売るときの方便の1つという気もする(民芸品を売るときにまつわる伝承の1つをしてやると売れやすいみたいな)。要は芸術のまわりの人たちが、それってクールと思えばいいだけの話しで、バックストーリーはマストではない気もするが。というのは、まったく部外者の感想。
等身大フィギア開発秘話みたいなとこが面白かった。カネだ何だ言う前に、成り上がるためには、こういう面白いやつで熱いやつでないといかん気がする。
最初の方のカネの話と比べ、最後の方の、クオリティーとか歴史に残るとか天才がどうだらとか、眠くなる文章でつまんなかった。