母音四角形とか大母音推移とか

数日前に、本屋で、英語の音声を科学する( isbn:4469245313 )という本を見つけて、買って読んでみた。この本は、音声学、音韻論の視点から、日本語と英語の音声についてあれこれ言ってる本なんだけど、母音四角形の話が面白かった。


日本語で「イー」と言いながら、口を開いていくと、イ→エ→アと音が変化する。さらに、ア→オ→ウと言うと、舌が後ろの方になって口が閉じていく。これを舌の位置で2次元で図にするとこうなるらしい。


上下は舌の高さ(口の上のとこからの空間の広さ)なので、一番口を閉じた「イ」が一番舌が高く、逆に口を開いた「ア」が舌の高さは低い。


この母音四角形に、英語の主要母音をマッピングしたのがこれ


この図を見ると、日本語の母音と英語の母音の関係がなんとなくわかる。ae(発音記号の文字がないのでかわり)は「ア」より大きな口で、「エ」と「ア」の中間みたいな感じもわかる。逆に、「エの口でアを言う」とか無理だし、
http://www.eigokyoikunews.com/eigokyoiku/essay/200512/page2.shtml
物理的な調音の位置を達成するために、いろいろなコツが言われるべきみたいな。


で、上の方は、イとウ、およびキバったイ、ウなのでそんな問題ないが、
日本人的に区別が難しいのは、「ア」のマッピングと混在する、下の方の3音。
ここを聞き分けるように注意する必要があるみたいです。


英語の子音は概ね分かったつもりだったけど、母音はどうにも意味不明だった。それが、母音四角形という2次元地図の上に、日本語、英語それぞれの音が、それぞれマッピングされると、何だかすっきりした。


大母音推移

ついでに、本の中で、「大母音推移」という話がちょこっとあった。1350年〜1600年ごろに母音の発音が母音四角形で言うところの上の方に変化していったらしい。原因は不明だが、貴族様や最先端を行く若者たちが狭い口の発音がカッコイイと思って、民衆がそれを模倣したのか?
http://eigo.be/cultures/greatvowelshift.htm

さらにウザイのが、イとかウはそれ以上は上に行けないため、母音を下→上って発音することで、上にいく雰囲気を出したらしい。それが2重母音。


というふうに発音は変化したのに、文字は変化できず、現在のような(発音と綴りの)ミスマッチが起こった。


なんて話を聞くと、英語(の文字)って、既にバグってるのに、リファクタリングもできずに、だましだまし使ってるクサレ言語なんだなーと、TOEIC430点の僕は思いました。