国家の罠

ISBN:4104752010

読んだ。最近、国策捜査とか流行りらしいし。


これおもろいわ。
外務省とかロシア人の外交とかの中で人間観察とか分析の描写が面白い。
なかなか読ませる。
以下、いろいろ感想。

セリフがかっこいい

話の中で出てくるセリフがなかなか読ませる。


http://d.hatena.ne.jp/ktdisk_bookroom/20071217#1197868675

僕は、能力がなくてやる気もないのが最低と考えていたのだが、父は能力がなくてやる気があるのが、事態を紛糾させるので一番悪いと考えていた。最近になって父の言うことが正しいように思えてきた。

http://d.hatena.ne.jp/ktdisk_bookroom/20071217#1197874106
http://www.asyura.com/0502/bd39/msg/526.html

新聞は婆さん(田中眞紀子大臣)の危うさについてきちんと書いているんだけど、日本人の実質識字率は五パーセントだから、新聞は影響力を持たない。ワイドショーと週刊誌の中吊り広告で物事は動いていく。残念ながらそういったところだね

微妙にムカツクけど。でもかっこいい。

信念の人って感じ

自分みたいな普通の人間は、いい女を抱きたいとか大金が欲しいとか
そういう煩悩に明け暮れて一生が終わりそうだが、
このおっさんは超越してる。


昔の革命家みたいな感じ。
チェ・ゲバラとか墨攻(漫画)の主人公みたいなイメージだ。
こういうちょっとキチガイ(=強い信念を持った)の人じゃないと、
拘置所で512日も過ごせないだろう。


何かキチガイ(=強い信念を内在化してる)の人って、
しょぼい自分を直視しないためとか、絶望的に手詰まりの暮らしの中で
一発逆転ですごい人になりたい夢見てる中二病タイプが多いと思ってたんだけど、
このおっさんは、そんな逃げのキチガイじゃなく、
自分からキチガイを目指してキチガイになったような感じがした。


こんな真正キチガイの人が私欲で悪さをするとはとても思えないですね。
とりあえず本の中の人物像的には絶対。

ロシア人の男同誌の付き合いがすごい

文化の違いだろうが日本人から見るとホモい。


やおい脳で「国家の罠」を読む
http://d.hatena.ne.jp/bullet/20051007#p1

やおい的にも楽しい国家の罠
http://www.geocities.jp/shinonomenod/kokkanowana.html

西村検察官とのやりとりはバーチャでは?

後半、拘置所の中で、西村尚芳検事と密室の中で取り調べ、調書づくりが行われるのだが。。。
西村検事が

「これは国策捜査なんだから、あなたが捕まった理由は簡単。あなたと鈴木宗男をつなげる事件を作るため。国策捜査は『時代のけじめ』をつけるために必要なんです。時代を転換するために、なにか象徴的な事件を作り出してそれを断罪するのです」

って、はぁ?
言うかそんなもん!
ありえねー。
と思ったけど。


密室の中で、国策捜査がどうしたとか、いろんなやりとりはあったのかもしれないけど、
検事が自分からそんなセリフありえんのか?と思った。


でも、この密室の中でのやりとりについて、著者が書いたことの真偽のうらを取る術はない。
検察に「この西村検察官の国策捜査発言は事実ですか?」と聞いても「いいえ」と言うだろうし、
でも「いいえ」というに決まっているがゆえに、この暴露が否定できない。


さらに本のジャンルはノンフィクションだし、他の個所は事実に基づいているのだろうし、
著者の信念の人柄もあわさって何だか本当っぽく聞こえる。


けっこう有名な本だから、そういう指摘もいっぱいあるだろうと思って
ググってみたけど、密室の中でのやりとりについての真偽についてふれてるサイトがほとんど見つからなかった。
佐藤優 バーチャル」とかでぐぐると同名のAV女優が出てくるし。。。


うーん、それとも、これは「プロレスが八百長」と言ってるレベルと同じで、
ここは、つっこむところではないのかも。


http://d.hatena.ne.jp/umedamochio/20050412/p1

むろん本当に西村が語った言葉なのか、佐藤の心の中の言葉だったのかはわからないが、この言葉に佐藤の矜持が集約されている。

でも、考えてみると、逆に西村検察官があれは本当だよと言わないかぎり肯定もできないわけで、
まぁ、これはこれでいいのかなぁ。でもノンフィクションだしな。